1. NPO法人の概要
NPO法人生活習慣病予防研究センター(島根県出雲市 代表:塩飽 邦憲)は,生活習慣病の予防教育および機能性食品の開発に関する事業を行い、健康な社会の実現に寄与することを目的として平成19年9月に設立されました。
生活習慣病の保健指導・教育、機能性食品の開発研究、学会・研究会の事務、臨床研究の支援事業などを行っています。
2. 臨床試験「加水分解コムギアレルギーの抗IgE抗体療法」の概要
NPO法人生活習慣病予防研究センターは、加水分解コムギ(グルパール19S®)含有石鹸「茶のしずく®」を使用して小麦アレルギーとなり、現在アレルギー症状がみられる患者あるいはアレルギーの数値が高く小麦製品の摂取を控えている患者を対象として、抗IgEモノクローナル抗体オマリズマブ(ゾレア®)の有効性を評価する臨床試験を開始しました。
ゾレア短期療法: ゾレア®150mgを4週毎に3回皮下注射し、治療後3か月血液検査にてアレルギー状態を評価します。島根大学医学部皮膚科教授の森田栄伸らの研究グループほか7施設で実施します。
ゾレア長期療法: ゾレア®の投与量および投与間隔は投与前の血清総IgE濃度および体重により換算表に従って決定する(75-600mgを2週あるいは4週間隔)。投与期間は44週で、投与終了後24週追跡調査する。
臨床試験の費用は、茶のしずく®の製造、販売会社である株式会社悠香,株式会社フェニックス,株式会社片山化学工業研究所からの寄付金5000万円を基にした加水分解コムギアレルギー救済基金にて賄われます。
3. 認知症の予防の概要
平成24年から出雲市の介護予防施策の一つとして認知症予防プログラム「体と心の活性化教室」運営のための委託を受け,実施しています。
認知症は年々増加し,現在480万人が罹患していると推計されています。アルツハイマー病は,認知症のなかでも大半を占め,アミロイドβの蓄積によって発症することが判明しています。認知症は,ひとたび発症すると完治につながる治療薬がいまだありません。そこで,認知症の早期発見と予防が重要になってきます。
認知症予防には,脳だけでなく身体を活性化することが有効であることが明らかになりつつあります。体と心を活性化する方法をお教えします。
本教室では,医師や保健師,栄養士,運動指導士が一人一人に合ったプログラムを考え,参加者の方と3ヶ月間楽しく活動し,身体の機能だけでなく認知機能の改善を達成します。
認知機能
認知機能とは,五感を通して得られた情報を認識したり,言葉の読み聞きや紡いだり,計算したり,物事を記憶し,学習し,計画的に物事を遂行したり,感情を制御するなど,心理的・知的基盤となるものです。
認知機能検査
認知機能検査には,長谷川式簡易知能評価スケール,MMSE(Mini-Mental State Examination)のほか,さまざまなものがあります。教室では,ファイブ・コグ検査と島根大学医学部第3内科で開発したiPadによる認知症検査Cadiを用います。
ファイブ・コグ検査は,東京都老人総合研究所と筑波大学臨床医学系精神医学によって開発されたものです。この検査は,注意力や集中力,エピソード記憶,空間認識,言葉のスムーズさ,考える力の5つの認知領域と手先の運動機能を測定します。集団健診で軽度認知障害の早期発見,認知症予防プログラムの効果を評価することに用いられています。